ジュエリーハナジマ社長のコラム

私の想い

こんにちは 大変ご無沙汰しております。 ジュエリーハナジマ花島路和です。 今日ご紹介する、フラワーアレンジメントの雑誌の方に取材を受けた時の本に掲載された記事が、私の考えるジュエリーに対する思いが一番よく表現されているのでご紹介させていただきます。

宝石が想いを伝える理由

ハナジマのこだわりは、お客様の要望を叶えるオーダージュエリーばかりではない。主役となる宝石へのこだわり、とくにダイヤモンドに対するこだわりも格別である。 ハナジマの花島路和社長はこう語る。

「本当に素晴らしいダイヤモンドは7色の光を放つのです。それも光を当てると直視できないほどの輝きです」

何千何万というダイヤの石の中から、厳選に厳選を重ねて、オーダーメイドに応えられるように、ハナジマでは0.003mm単位でいろいろな大きさのダイヤをそろえています。世界一のダイヤモンドカッターともいわれるラザールキャプラン社製のダイヤも豊富に扱っています。大きさが違っていてもハナジマのダイヤはみんな同じように輝きます。だから1800円のダイヤを使った指輪でも7000万円のダイヤを使った指輪でも美しさは変わらない」 花島社長の考える宝石の定義はこうだ。 たぐいまれなる美しさがあるもの、希少性のあるもの、300年以上(かたちが)続くもの。 たぐいまれな美しさとは人の心の美しさを表し、希少性とは「ほかの誰でもないあなただけに」という想いを表し、300年以上続くということは「私の想いが恒久に続く」という願いを表すと花島社長はいう。

「たった一人の女性に想いを伝えたくてなけなしの貯金を切り崩してまで買った一輪のバラと、億万長者が何千本のバラの花束を知り合いの女性にたやすくばらまくのと、どちらが尊いと思われます?」

愛情や想いの大きさ、重さは価格と等価値ではない。だからハナジマで扱うすべてのダイヤモンドは大きい小さいに関係なく、輝かしく温かくて人の美しい想いを形にできる世界一のものをそろえていると花島社長は力説し、以下のように続けた。

「私はお金がある人だけが素晴らしい思いをするのではなく、価格の低い宝石しか買えない人でも自分の想いを伝えられる宝石を準備しておきたい。自分の体力と感性が枯れるまで、ダイヤモンドの選定にはこだわり続けます。」

命の火を灯し続けた宝石の力

ハナジマがお客様のためを思ってオーダーメイドにも宝石の品質にも全力を傾けるのは、花島社長の若き日のあるエピソードがルーツとなっている。 それは花島社長が実家の宝石商で働いていた25歳のときのこと。母親の馴染みの客である老婦人の自宅に招かれた花島社長は、その老婦人から次のように依頼を受ける。 「私は癌であと1か月くらいしか生きられないから、自分の持っている指輪たちを家族に譲りたい。ついてはサイズの直しをお願いできないでしょうか?」

花島社長がその老婦人に、1つ一つの指輪にまつわる想い出を聞いてみると、若いころにハワイに渡航した話、娘や孫の記念行事のときに指輪をつけてのぞんだ話などを生き生きとした口調で語ったという。 後日花島社長がリフォームが終わった指輪を届けに行った際に、目の保養にと思って宝石のサンプルを持参したところ、その老婦人はたいそう喜んで「ありがとう、綺麗なものを見ると女性は元気になるの。2つとない美しさは見ているだけでも嬉しいものよ」と笑った。 定期的に宝石や指輪のサンプルを見せに行くうちに、徐々にその老婦人の生気が戻ってきたそうだ。そしてどんどん機嫌がよくなっていき、花島社長に娘さんやお孫さんにプレゼントする指輪をいくつも発注したという。 その老婦人は花島社長と初めて会ってから1年後に亡くなった。ご当人が言っていたよりもはるかに長生きして。 「遺言でご遺族の方々にご注文いただいた指輪を私から1つずつお渡ししました。その方が1人ひとりに充てて書き残された手紙を添えて。全員泣きながら微笑んで受け取ってくださり、『花島さん、ありがとう』と感謝の言葉を述べられたのです」と花島社長は目に涙をためながら、当時を振り返った。

宝石に人生を託して

このときより花島社長は、宝石には人の想いを伝える力、ひょっとしたら人の生命をも左右する大きな力があることを確信したのだという。 「このお客様は私を導いてくれたのだと思います。それまでは『宝石は売るもの』と考えていました。でも『宝石は想いを伝えるもの』というスタンスに変わったのです」 宝石を通じて人々に想いを伝えることこそわが天職。これが花島社長のぶれない信念になった。両親の経営する宝飾店から独立・開店するときも、宝石のみで勝負したいと思ったという。 「実家はメガネや時計とともに宝石を扱うお店でした。日に50人くらいのお客様がいらっしゃる。すると宝石をお買い求めいただくお客様に対応する時間が短くなってしまうのです。宝石を扱うからには、そのお客様の想いをちゃんと受け取るだけの接客の時間が欲しいと考え、私は宝石1本のお店で勝負すると決めました」 自分の理想を叶えるために西葛西にお店を構えて、10年目を迎えている。今ハナジマに来店するお客様は最低2時間は滞在するという。5時間以上滞在する方も珍しくないのですよ、と花島社長は目を細める。 「これだけ長い時間をかけて私たちに『想い』を託すお客様を、裏切るようなことは絶対にできません。目の前の売り上げや、来店客数の増加や、企業規模の拡大や名声を得ることがハナジマを存続させる理由ではない。だから当社では売り上げ目標も、ノルマも設定していません。私たちが歯を食いしばるのは、お客様から受けとった想いを、『どうしたらもっと強く、もっと美しく、わかりやすく表現することができるのだろう』ということを追及するときだけです」 指輪を作ることが仕事ではなく、指輪は『想い』の後にできあがるもの。この理念があるからハナジマでは1つひとつを職人が心を込めて手作りしているのだろう。ハナジマの指輪には幅20ミリの中に人々の想いが凝縮している。 (C) Sodo Publishing All Rights Reserved 「PRETTY PRESERVED 2012年 初夏号」草土出版